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2008/04/29 19:14
東京SCのみなさんが着て泳いで、いよいよ速い みたいですな。
以下、4月11日付New York Timesの記事。
『世界記録ラッシュの水着に疑惑の視線 』
火曜日、1人の男性が、カリフォルニア・バークレーにあるスピーカー・アクアティクス・コンプレックスのデッキを歩いていた。カリフォルニア大の女子水泳チームが練習している。男性は、亜麻色の髪をした4人の子供にキャンパスをを見学させてまわっていたのである。
「競泳シーズンはいつ始まるんですか?」
男性はベア―ズ(チームのニックネーム)のコーチ、テリー・マッキーバーに尋ねた。マッキーバーがシーズンは終わったと答えると、男性はしばし沈黙して、言った。
「あのレーザー水着はどうですか?」
SPEEDO社がNASAの協力を得て開発したLZR Racer(レーザー・レーサー) は大きな反響 をよび、イルカの『わんぱくフリッパー 』は知っていてもクイック・ターンを知らないという人々にも衝撃を与えている。この水着が2月に発表されて以来、世界記録がのべ23回塗りかえられたが、そのうち22回は着用した選手によるものである。
「期待をはるかに上回っています」と語るのは、SPEEDOの販売・マーケティング上級副社長、ステュ・アイザック氏。
ダラ・トーレスは夏にオマハで行なわれる代表選考会で5度目の五輪出場を目指すが、彼女によると、LZRを着て泳ぐと水の中を「ナイフ がバターを突き抜けるような」感覚だという(意味のわからん喩えだな)。ちなみにトーレスはSPEEDOの広報担当である。
記録ラッシュと、水着を着用した選手の証言によって、論争が起こっている。こんにちの超軽量テクノロジーによって作られたスイムスーツに、純粋主義の人々は眉をひそめる 。ゴルフ やテニス のように道具が勝敗をきめてしまうようなことに、水泳にはなってほしくないというのだ。
コルセットのように身体にフィットするLZRはストリームラインを実現させるだけでなく、従来の水着と違い、中枢神経の働きに作用するのではないかと見る向きもある。一方、スイマーの浮力 を競技力向上といえるレベルまでアップさせているという声もある。
何人ものメダリストを指導した、あるコーチは、この水着を「着る薬物」(drugs on a hanger=直訳すれば「ハンガーにかかっている薬」)と評した。彼は匿名を希望した。教え子にSPEEDOがスポンサーについているからだ。イタリア・ナショナルチームのコーチ、アルベルト・カスタネッティは先ごろ共同通信に、LZRを着ることは「テクノロジーのドーピングだ」と語っている。
SPEEDOの研究開発主任、ジェイソン・ランス氏は、LZRは国際水連(FINA)が定めた基準に沿ったものである、と言う。従来型との違いは、LZRは抵抗がより少ないことだという。
ランス氏が強調するのは、LZRはスイマーたちの厳しい練習を覆い隠してしまうのでもなければ、逆に練習不足を補うものでもない、ということだ。記録更新はあくまでも選手の努力をたたえるべきであり、水着ではない。
「こないだ水着をプールに落としましたが、遠くへは行きませんでしたよ」
スポーツと科学を縫い合わせている水着メーカーはSPEEDOだけではない。TYR SPortというメーカーは1972年の銅メダリスト、スティーブ・ファーニスが経営する会社だが、トップ商品のレーススーツ、Tracer Lightの開発に数百万ドル を投じてきた。アメリカ代表のメアリー・ディシェンザがこれを着て短水路世界選手権(イングランド・マンチェスター)にのぞみ、200mバタフライでメアリー・T・マーハーの世界記録を27年ぶりに更新した。
同じ大会で、ダグ・ヴァン・ウィーもTYRを着用し、4×100mリレー世界新記録のメンバーになった。リレーの他のメンバー――ライアン・ロクテ、ブライアン・ルンドクイスト、ネイサン・エイドリアン――はSPEEDOのLZRだった。
オリンピック・イヤーになると、高記録が怒涛のように押し寄せる。ファーニスがメダルを獲った1972年の前年は、それまでのナイロン製にかわってスパンデックス(長鎖状高分子合成物からなる合成繊維)という新素材の水着が登場した年で、現代における最初の水着革命となった。53もの世界記録が生まれたが、その4年後には61の記録が塗りかえられた。
FINAのムスタファ・ラファウイ会長は今週、多くの世界新記録が生まれて嬉しいと語った。水着の最先端技術が問題なのではない。製造元がFINAの定めるように、すべての選手に提供できるようにすることが重要だ、と言う。
この問題はニュージーランドの代表選考会で見られた。スポンサー契約の問題と水着の供給不足で、国内のわずかなトップ選手にしかLZRが行き渡らなかったのである。カナダ・チームにはSPEEDOがスポンサーについているが、こうした不平等を避けるために代表選考会でのLZRの着用を全面的に禁止した。
「水着がないせいで不利な選手が出てくるのは不本意です」アイザック氏は言う。
彼の計画では、全米予選で1,300人の選手に対し、3,000着を用意するという。このニュースにはキッカー・ヴェンシルも喜ぶ。彼は選考会の50、100自由形に出場する。
ヴェンシルには水着のスポンサーはない。コーチのデーヴ・サロはSPEEDOの関係者である。ヴェンシルは先週末の大会で、コーチからLZRを借りて泳いだ。
「その水着の名前も知りませんでした」ヴェンシルは練習拠点のロサンゼルスで答えた。
「着てみたいとは思いました。でもみんなパニックになっていると思います。別の会社との契約を反古にしてでもSPEEDOを着たいっていう話は聞きますよ」
五輪の年には水泳にスポットライトが当たるが、戦いはアスリートに負けずメーカー間でも激しい 。
「最先端水着の論争はエスカレートして、苛烈な販売戦争に発展しつつある」
と、かつて書いたジャーナリストがいた。
彼の名はレオ・ザイニーといって、上の言葉は1974年のシカゴ・トリビューン紙に掲載されたものである。
水着が変わっても、論争のタネは同じ、ということである。
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